
コンマイ語とは、KONAMIの大人気カードゲーム「遊戯王デュエルモンスターズ」にて度々登場する日本語によく似た言語を指す言葉である。(一説によるとKONAMIのアナグラムらしい。)
なまじ日本語に似通っているばかりに多くのデュエリストを困惑させ、「初心者お断り」という雰囲気さえ醸し出してしまっている。
先日リリースされた遊戯王マスターデュエルというゲームにおいてもコンマイ語は散見され、多くの初心者デュエリストが脱落してしまった一因ともなっている。

脱落の原因については諸説あります。
このシリーズではそんな難解なコンマイ語を一つ一つ日本語訳しようというわけである。
不可能と思われる試みではあるがどうか私の挑戦を見届けていただきたい。
第一回はこちら↓
結論:「対象を取らない」とは「対象を取らない」ことである


斬新な始まり方だね

結論から話すと分かり易いって聞いたからさ

例外もあるんだよ
そもそも【対象を取る】とは

まずはこちらのカードをご覧ください。
コケ 通常モンスター 星3/地属性/鳥獣族/攻 900/守 800 相手を丸飲みにして、自分のエネルギーとして取り込んでしまう。
「コケ」というカードです。可愛いですね。しかし今回の記事とは無関係なので忘れましょう。

何がしたいの?
気を取り直してこちらをご覧ください。
死者への手向け
通常魔法
(1):手札を1枚捨て、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

問題です。このカードは「対象を取る」効果でしょうか?

これは「対象を取る」効果だと思います

チッ 正解です!

今確実に舌打ちしたよな
当然、「フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。」と書いてあるので対象を取る効果です。このように遊戯王カードの中には「対象を取るカード」が数多く存在します。

というか半分くらいが「対象を取るカード」のような気がします。
【対象を取らない】を分かり易く理解するための問題集

ここからはいつものように問題形式でお送りします。
Q1,【アーティファクト・モラルタ】の③の効果は対象を取るでしょうか?(配点ファーストセクシー3万点)
アーティファクト・モラルタ
効果モンスター
星5/光属性/天使族/攻2100/守1400
(1):このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠ゾーンにセットできる。
(2):魔法&罠ゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた場合に発動する。このカードを特殊召喚する。
(3):相手ターンに、このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの表側表示のカード1枚を選んで破壊する。

え、普通にカード1枚を対象にするんじゃないの?

今日は牛乳を買って帰らないとな。自分で搾乳してもいいけど。

いや何か言ってよ

正解は「対象を取らない」です。

何も言わない方が間違うかなと思ったらその通りだったね
解説
効果の書き方に注目しましょう。
「相手ターンに、このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。 相手フィールドの表側表示のカード1枚を選んで破壊する。」
このような文章のカードは効果処理中に「1枚を選んで」という部分を適用します。
例えば相手フィールドにカードが2枚あった場合はこのような会話になります。

モラルタの効果を発動します。何かチェーンありますか?

破壊するカードはどちらですか?

いえ、これ対象を取らない効果なんで破壊するカード選ぶのはワニさんのチェーンあるか確認してからなんですよ。

あ、そうなんですか!すみません!まだ遊戯王始めたばかりなんでその辺難しくて……とりあえずチェーンは無いです。

まぁ最初はその辺マジで意☆味☆不☆明って感じですからね(笑)他にも聞きたいことあったら全然答えますよ!あ、破壊するのはミラジェイドで。

大会出るの初めてなんで緊張してたんですけど、1回戦がトラさんでホント良かったです。墓地から烙印開幕除外して破壊無効にします。

えー初参加なんですか!?落ち着いてるから慣れてるもんだと思ってましたよ!サレンダーします。

いやもう自分ホント陰キャなんでガチガチに緊張してただけです(笑)対戦ありがとうございました!

正直最初ちょっと怖い人だと思ってたんでギャップにビックリしました!対戦ありがとうございました!よかったらフリー対戦しませんか?

是非お願いします!ちょっと練習中のデッキでもいいですか?

いや長い長い長い!
途中からもう全然関係ないし!

いや会話にリアリティあった方が分かり易いかなって。

リアリティもなにもコミュ力高い決闘者なんているわけねーだろ!!!

そんなことないだろ。
Q2,【おとり人形】の効果は対象を取るでしょうか?(配点2点)
通常魔法
魔法&罠カードゾーンにセットされたカード1枚を選択して発動する。選択したカードをめくって確認し、そのカードが罠カードだった場合、強制発動させる。発動タイミングが正しくない場合、その効果を無効にし破壊する。そのカードが罠カード以外だった場合、元に戻す。このカードは発動後、墓地へ送らずにデッキに戻す。

えー普通に対象取りそうだけどなぁ……

死者への手向けのテキストをもう一度見てごらん?
通常魔法
(1):手札を1枚捨て、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

あ、「対象として」って書いてある!

おとり人形とは書き方が違うよね?ということは?

普通に考えて対象を取らないってことになるけど、クソ牛がこう言うってことは……「対象を取る」だ!

チッ 正解

もう舌打ちの方が文字がデカい
解説
今のようにテキスト表記が画一化される前、古の時代にはこのように処理が分かりにくいカードが数多く存在しました。

ちなみに【おとり人形は】はかなり分かりやすい部類です。
クソ牛が言った通り、死者への手向けのように「~を対象として発動できる。」と表記してあるわけではないですが、「~を選択して発動する。」と書いてある以上は発動時に対象を指定していると考えるのが自然ですね。

余談だけど初期の融合なんて「決められたモンスターとモンスターを融合させる。」とか書いてあったんだぜ☆
分かりにくいテキストの例で言うと、最初の問題で出てきたアーティファクトーモラルタの初期テキストは以下のようになっています。
効果モンスター
星5/光属性/天使族/攻2100/守1400
このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠カードゾーンにセットできる。
魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた時、このカードを特殊召喚する。相手ターン中にこのカードが特殊召喚に成功した場合、相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選んで破壊できる。
現代遊戯王では文章中に「発動できる。」という区切りがあるため、対象を取る/取らないが非常に分かりやすくなっています。
しかし昔はこのモラルタのような書き方がスタンダードでしたので、対象を取るか否かの判別方法
1,新カードが出る
2,誰かがKONAMIに電話して聞く
3,遊戯王WIKIに載せる
4,みんなはそれを見て把握する
というのが一般的でした。

ガラケーしかない時代はその場でWIKIが見れないから俺もよく電話してたぜ☆

え、こがねむしって何歳なの?

不老不死。
Q3,陽炎獣バジリコックの除外効果は対象を取るでしょうか?(配点12億1919万4545点)
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/炎属性/炎族/攻2500/守1800
炎属性レベル6モンスター×2体以上(最大5体まで)
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手のフィールド上・墓地のモンスター1体を選択してゲームから除外する。
また、このカードが持っているエクシーズ素材の数によって、このカードは以下の効果を得る。
●3つ以上:このカードの攻撃力・守備力は、このカードのエクシーズ素材の数×200ポイントアップする。
●4つ以上:このカードは相手のカードの効果の対象にならない。
●5つ:このカードはカードの効果では破壊されない。

モラルタと同じ書き方だからこれは簡単

ソウダヨネ、簡単ダヨネ

いや待てよ、「1問目と同じ書き方だから同じ答え」なんていう問題に何の意味がある?こがねむしは魂まで曲がり切ったクソ牛でオナラが臭いけど、これまで意味のない問題は一度も出していない……。なにより今やたらニヤニヤしながら見てくるということは……?


正解は対象を取るだ!

ヂィッ!! 正解

舌打ちで殺されるかと思った
解説
数あるコンマイ語でも最大級の意味不明さを誇る「選択して」「選んで」の登場です。
「選択して」だと対象を取り、「選んで」だと対象を取りません。
バジリコックのテキストを読む限り、モラルタと同様に発動後にカード選択を行うように見えます。
しかし実際には「発動時に対象を取る」のです。ですので当然、効果にチェーンして対象のモンスターを強制脱出装置で守ったりもできます。
当シリーズがコンマイ語を日本語に訳すという趣旨である以上、「何故、【選択して】だと対象を取るのか?逆に何故、【選んで】だと取らないのか?」を解説する必要がありますが、これに関しては解説など不可能です。
「日本語では同じ意味だが、コンマイ語では違う意味だから」としか表現できません。

そういうものだと諦めよう!

早くも超えられない壁にぶつかったね。
結論:「対象を取らない」とは「対象を取らない」ことである

勝鬨くんみたいになってしまったが、「対象を取らない」とは「対象を取らない」ことである。
もしかしたら初心者デュエリストの中には「それで何が変わるの?」と思う方もいるかもしれません。
しかしおそらく遊戯王に慣れているデュエリストほど、「対象を取るカードよりも対象を取らないカードの方が強力」と認識しているのではないでしょうか?
基本的に「対象を取らない」効果を防ぐのはとても難しい上、【アストラム】のように対象耐性を持つ強力なモンスターも問題なく突破できます。
リンク・効果モンスター
リンク4/光属性/サイバース族/攻3000
【リンクマーカー:左/右/左下/右下】
EXデッキから特殊召喚されたモンスター2体以上
(1):リンク召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードは相手の効果の対象にならず、相手は他のモンスターを攻撃対象に選択できない。
(2):このカードが特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージ計算時に1度、発動できる。このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ、その相手モンスターの攻撃力分アップする。
(3):リンク召喚したこのカードが相手によって墓地へ送られた場合に発動できる。フィールドのカード1枚を選んで持ち主のデッキに戻す。
対象を取らないカードが便利になりすぎたためか、最近(?)では「対象を取るカードの効果しか受けない」カードも出始めたため、このバランスは少しずつ改善していくのではないかと思います。
リンク・効果モンスター
リンク5/光属性/悪魔族/攻3000
【リンクマーカー:上/右上/右/下/右下】
効果モンスター4体以上
このカードをリンク召喚する場合、相手フィールドのモンスターも1体までリンク素材にできる。
(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化される。
(2):リンク召喚したこのカードは、このカードを対象とする効果以外の相手の発動した効果を受けない。
(3):1ターンに1度、墓地からモンスターを特殊召喚する効果を含む、魔法・罠・モンスターの効果を相手が発動した時に発動できる。その発動を無効にする。

メンヘラ彼女みたいだね
3回目にして日本語訳不可能というコンマイ語にぶち当たってしまいましたが、そういうものとも上手く付き合っていかなければ遊戯王で強くなることはできません。
仮に日本語訳できなくても理解が深まることは間違いないので、これからもこの挑戦を見届けていただけると嬉しいです。
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